2015年08月18日

七輪の火皿について

  
  
火皿の役割
火皿は七輪をはじめ、各種コンロ、ストーブなどの燃焼器で広く使われ、その主目的は燃料に空気を供給して火力を上げることです。
火皿があると燃料下部に空気層ができ、孔を上昇する空気により効率よく燃焼します。
また、空気取り入れ口の開閉により火力調整を行なえること、空気層で断熱性が高まり、冷気が流れることにより、
テーブルなどを過熱から守るという役割もあります。
※火皿は様々な火器に使われる用語です。
  

火皿の名称いろいろ
火皿には様々な名称があり、どの名称を使っても間違いとは言えないようです。
ただ、販売上の混乱を避けるため、ある程度の使い分けがされています。

火皿(ひざら)
七輪用として最も一般的な名称かと思います。ロストルとは区別されることが多いです。
ロストル  オランダ語:Rooster 
鉄格子、火格子のことで、ストーブや火種コンロ、火起し器に使う、金属製、鋳物製のものを言うことが多く、陶器製のものにはあまり使わない名です。
サ ナ
主に水コンロに使う陶器製の上皿のことを言います。※下記参照
目 皿
本来はお風呂の排水口などのゴミよけとして使われるものですが、形状が類似するため代用品としても使われることがあります。

茶碗蒸しや豆腐を煮すぎたためできる穴や鋳物にできた空洞を言います。
穴のあいたものという意味で使われていると思います。
すのこ
これは形状からのイメージで名称が不明の時に使われる?と思います。
すのこは木製なので・・・。




火皿の種類-------------------------------------------------------------------------------------
陶器製、鋳物(鋳鉄)、金属板(ステンレスなど) があります。


◆陶器/ 珪藻土一体化
切り出し七輪特有のもので、七輪本体と火皿が一体化しています。 写真:右端→の断面をご覧ください。
この構造は切り出し製法で、火皿の下を削り取ることによりできるもので、型によるプレス加工ではできません。
そのためこの一体化構造であれば、間違いなく「切り出し七輪」であるとがわかります。
底が二重構造のため七輪本体に強度がある、一体化のため火皿部も割れにくい、素材としても珪藻土のため断熱性に優れている、
製造コストが削減できる、というメリットがあります。
逆に火皿が取れないので掃除しにくい、火皿部が損傷すると本体も使えなくなる、というデメリットがあります。
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◆陶器/ 天然珪藻土
七輪と同じ素材、珪藻土を削り出した火皿です。塗装しないため肌色です。
火皿がはずれないと掃除しにくく不便!という、圧倒的に多いお客様のご要望に応えたものです。
珪藻土のため断熱性に優れ比較的ローコストです。珪藻土は柔らかいので割れやすいというデメリットがあります。
重い備長炭を投げ入れたりすると一撃でバラバラに割れることがあります。
ただ、大切に使うとけっこう長持ちします。特に丸形は強いです。
写真:右端→の火皿は200回以上使用したもの。ボロボロになっていますがまだ使えます。
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◆陶器/ 素焼き
耐火性のある土を素焼きにしたものです。
釉薬があると膨張率が異なり、すぐに割れてしまうため必ず素焼き製です。
粘土のためさまざまな形に加工しやすく、比較的安価です。
形状にもよりますが小さな物は比較的強いですが、大きくなると熱膨張が大きいためか極端に弱くなります。
近年ではこういった陶器を製造する工房(窯)が日本に少なく海外製品が多いようです。

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◆陶器/ ムライト板
ムライトは工業用セラミックスで、熱膨張率が小さく大変高温に強い素材で、陶器窯内の棚板などにも使われます。
ただ、型による成形製造は大量生産の必要がありコストがかかりすぎるため、写真のようにムライト板をウォータージェットで切り抜くという製法になります。
当店でも以前は販売していましたが、コスト高のわりに割れやすく、販売をやめてしまいました。
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◆陶器/ 素焼き サナ
耐火性の強い土を型への流し込み成形により素焼きしたものです。
主に水コンロの上皿として使われるもので一般的に「サナ」と言われることが多いです。
需要も多く日本で製造されています。
炭火焼き店などで毎日使用すると、2、3ヶ月が寿命のようです。 写真:右端→焼肉店で使用したもの
当店では切り出し七輪の上皿として販売しています。※7rin-27洗える七輪
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◆鋳物
鋳鉄を鋳型に流し込んで製造されます。鋳鉄の種類により強度が大きく変ります。
ロストルと言われることの多いものです。
安価で新しいうちは割れることもないので、大変普及しています。特に大きな火皿はほとんどがこの鋳物製品です。
長期使用すると伸びて変形し、割れてしまったりボロボロに朽ちてしまいます。
現在ではほぼ100%、中国などの海外製品です。日本では工場も極端に少なくなり大変高価なため製造されません。
日本の鋳物工場は鉄瓶や風鈴などの高級品に限られてきているのです。

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火起し器の底にも使われます。








ロストル
火種コンロ(火起こしコンロ)用の鋳物火皿で、一般的にロストルと言います。 こちらで販売中
火種コンロは長時間高温使用されるため、25mmほどの分厚い鋳物を使います。
それでも写真のように長期間真っ赤になると、伸びて大きくなり、朽ちてきます。 写真右端→
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家庭用の火起し器の底も鋳物です。長期間使うと中央部が膨れて破れてしまいます。
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◆ステンレス板
ステンレスは鉄と比べ、大変熱に強くサビにも強い素材です。
珪藻土のような断熱性はありませんが、分厚い板を使えば鋳物よりはるかに頑丈で高温で溶けることもありません。
ただ、素材、加工費とも高価なため、肉厚の製品にしにくいです。
ホームセンターで販売されているものは、わずか0.3mmほどの厚みしかありません。
当店のステンレス火皿は、SUS304(18-8)、2mm厚をレーザーで切り抜いています。
長期使用するともらいサビが出て、変形してきますが、一般家庭ではまず取り替え不要です。
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角型の高級火起し器です。やはり頑丈なステンレス製のロストルで、鋳物(鋳鉄)より長寿命です。
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Posted by field5392 at 10:56│