北海道の囲炉裏の特色
北海道の囲炉裏は形態としての大きな特徴はなく、一般的な床上に四角く切られた囲炉裏がほとんどです。
ただ、商家や農家の囲炉裏は北陸や関東方面の特色をもった多種の囲炉裏があり、移住開拓の地を感じさせる独特なものがあります。
特に商家の囲炉裏は都会的な雰囲気があり、移住者の好みを感じます。
■鰊御殿の囲炉裏
鰊御殿の囲炉裏も形態はごく一般的ですが、どの鰊御殿もかなり共通点が多く統一感があります。
また、建物自体も多くの場合、鰊御殿特有の形態を持っています。
詳細な特徴としては、灰の存在が少なく、内炉を用いることです。
周囲を小石にするか、銅板などで覆うことが多いです。
火棚は、熱や煙が通り抜ける格子状のもので、煙の拡散を行わず乾燥棚として使われます。
鰊御殿や商家も明治時代の建造物が多く、瓦屋根が中心で萱葺き屋根が少ないためと推測できます。萱の入手が困難だったのかもしれません。
比較的丁寧につくられた囲炉裏框(かまち)が多く、内側に押さえ縁や面取りがあります。
石炭の豊富な北海道は、当然のことながら囲炉裏に変わる暖房として、石炭ストーブが普及し、
囲炉裏を塞いで置かれていることがとても多いです。
または、石炭ストーブ専用の台を囲炉裏に並べて置かれています。
これは北海道では古くから竈が普及しており、暖房は石炭ストーブ、調理は竈、と分離できたこと、
萱葺きのための燻煙が不要だったことが要因だと思います。
今でも燻煙を行う「白川郷」とは対象的なものです。
↓旧福士家住宅のストーブ
美しいタイル細工のストーブ置きです。
これは泊村の鰊御殿、旧川村家番屋のものです。
鰊御殿は保存のため囲炉裏付近からストーブが取り除かれていますが、
実際にはかなり普及していたと思います。
■旧秋山漁家住宅
日本海の焼尻島で3代にわたって、鰊や磯周り漁を営んだ漁家です。
内炉のある木炭の囲炉裏です。
■旧岩間家農家住宅
なぜ北海道に?と思いましたら、宮城県から移住した畑作農家のものでした。
東北地方特有の土間の囲炉裏で、農作業中でもすぐに火に当たれ、薪の補給のしやすいものです。
■旧ソーケシュオマベツ駅逓所(えきていしょ)
北海道開拓の大きな役割を担い、道内に200箇所以上もあったといわれる駅逓所です。
駅逓所は貨物の運送拠点で、郵便の取り扱い、宿泊施設や馬小屋もあります。
宿泊所の囲炉裏と火鉢
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Posted by field5392 at 11:03│
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