運上家とは江戸時代に幕府(松前藩)が、和人とアイヌの交易場所で運上金の管理目的に建てた出先の建物です。
この鰊御殿は、番屋とその運上家が一体化したものです。
ここは幕府直営の運上家の鰊御殿で、他の御殿とは部屋の配置などが大きく異なります。
多くの場合、民間の漁場経営者(親方)が運上金を幕府に支払うことで漁業権を確保していましたが、
この鰊御殿のように松前藩自らが漁場を経営することで財源を生み出すこともあったのです。
この建物は現存する唯一の運上家だそうです。

他の鰊御殿と異なり通路がなく、上座下座の囲炉裏がつながっています。
この写真の右奥が幕府役人の座敷です。
武士階級が存在すると他の鰊御殿のようには作れないのでしょう。

中央の段差で身分を区分しています。
ここでは親方は幕府ですが、雇われた漁場運営陣が上座の囲炉裏を使い、
お役人は奥の座敷に居り、囲炉裏には座らなかったと思います。

上座の囲炉裏です。他の鰊御殿と比べ空間の壮大さはひときわです。
但し、囲炉裏や火棚などは再現されたもので昔の形態がどこまで残されているか不明です。
全長3m以上もある巨大な空鉤が天井から吊られています。


下座の漁夫用の囲炉裏です。


鰊御殿共通の格子の火棚と内炉があります。


こんなに高い炉縁では火に当たりにくいので、
これは再現時に間違った作り方をしたのでは?と思います。
他の鰊御殿をはじめ、昔の囲炉裏に高い炉縁は存在しないので・・・・。

大きな神棚が祀られています。
右下がお役人の座敷の入り口ですが、さらに2段上がりにして格付けを行っています。

お役人用の座敷です。両側に役職別の部屋があり、火鉢があります。
奥の方が囲炉裏のある漁夫だまりです。


大きな竈があります。

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