これほど見事に保存された街並みは唯一といっても過言ではないと思います。
電柱も夜のライトも観光向けの新しい建物もありません。
私が泊まった大黒屋さんのご主人の言葉が印象に残っています。
街並みを保存するには、売らない、貸さない、やめない、の3つが肝心!各家がそれを守っていけるかどうかが問題とのこと。
大内宿が何故これほど美しく保存できたかというと、観光地化されたのはここ十数年前のことで、本来の街並み保存意識が高い時代となり、
一昔前に見られた見苦しい観光地化を避けることができたためです。

観光と保存の両立で、
いつまでもこの美しい街並みが
保存されることを祈ります。


休日の日中は観光客で賑やかですが、夕方になると見事に人がいなくなります。
大内宿は茅葺屋根の民宿が5軒ほどしかなく、ピーク時でも数十名の宿泊客しかいないためです。
宿場であった昔の方がはるかに賑やかだったと思います。
この風情はまるで時代劇ですね。

この写真ではわかりませんが、夜の大内宿は最高に美しいです。
ネオンはもちろん蛍光灯の光もありません。
川のせせらぎ、虫の声、満天の星、情緒溢れる夜景とほんとうに最高です。
この風情は民宿に泊まらないと味わえません。



地道のホコリを避けるため、両側にある小川の水がまかれます。
この水は真夏でもとても冷たく、ラムネやビールが冷やされています。

大内宿「本陣」です。
本陣は大名や役人が公用の旅で泊まる宿で、
他の建物より大きく立派です。


土間の囲炉裏(地炉)と土間横の座敷の囲炉裏があります。
贅沢な木炭も使えたので火鉢もあります。
大内宿を含め、福島県会津地方の囲炉裏は岩手(曲り家)の腰掛タイプの囲炉裏はなく、このような一般的な囲炉裏です。
同じ東北でもここまで南下すると冬の厳しさも和らぐのでしょう。
私が泊まった「大黒屋」さんの囲炉裏です。
今は木炭しか使いませんが、真夏でも夕食の岩魚を焼くため火が入れられます。
火棚や串魚を刺す弁慶は装飾品として使われています。
食材はほとんどが自家製でご飯、蕎麦、野菜と驚くほど美味です。
キャベツやトマトまでが何故こんなに美味い?と疑問に感じるほどでした。


高遠そばで有名な「三澤屋」さんです。
大内宿はそばが有名でおそば屋さんが10軒以上もあります。
この三澤屋さんは特に有名で、ピーク時は行列のできる店です。
高遠そばは箸を使わず、ネギでそばを引っ掛けて食べることで話題になったものです。
他の店でも味わうことができます。関西と違ってどの店も蕎麦のレベルは高いですね。美味でした。


人気の一品、岩魚が大量に焼かれています。


三澤屋さんの大きな火鉢の真夏の風情。 粋ですね。


この地方特有の石造りの火消し壷です。
あちこちの囲炉裏や土間で見かけます。

この炉縁の組み方も特有ものです。
全部ではありませんが、最近作られた囲炉裏も同様に
幅の広い炉縁のほとんどがこの組み方です。
名物「しんごろう」という炭火焼きの餅です。うるち米を半つきにして串刺し、じゅうねん味噌を塗ったものです。
炭火であぶられた味噌が何ともいえず美味しく、とても人気があります。


「みなとや」さんです。
「いしやきとうもろこし」という看板に惹かれて・・・。
このとうもろこしを食べてびっくり! なんて甘いんだ!
とうもろこしは、収穫後数時間以内に食べないと、自らが種としての保存を図るため物質的変化がおこり、甘さが半減すると聞きますが、まさにその通りでした。
この、朝もぎりのとうもろこしを食べれば実感できます。
もぎたてのとうもろこしを薪をくべた石焼釜に頭を突っ込んで焼くのです。真夏なのでとても暑そうです。



何故「いしやきとうもろこし」なのか? 後ろの看板にあるように冬は「いしやきいも」だからです。
とにかく美味しいですので、夏に行かれたら是非食べてみてください。
大内宿は食べ物が美味しくて短時間では食べ切れません。
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