2006年07月20日

囲炉裏の灰の不純物 取り除き方

木灰には原木に付着した不純物や生産過程で混入したさまざまな不純物が混じっています。


木炭粉
これはなかなか避けられないものです。原木を燃やすと炭になり、さらに燃焼させると灰になるのですが、
炭を完全燃焼させるのは困難なものです。
高温の白炭窯で燃やしたすごく色の濃い灰には含まれませんが、生産量がわずかです。

灰の粒
原因はよくわかりませんが、灰の成分の石英(ガラス質)などなどが固まって、大粒の灰ができるようです。
これも混入を避けることは難しいです。

砂利
炭焼き窯で生産した木灰に混入することが多いですが、採取方法によって容易に混入を防止できます。
土でできている窯の底の灰や、白炭(備長炭)にかける素灰(灰と土の混合物)をすくうと大量に混入してしまいます。
※備長炭の窯で採取した灰は砂利が混ざっている!と思われる方がおられるのですが、
これはあくまでも「手抜き採取」か「技術が未熟」な場合のみです。

原木の樹皮には微量の砂利が付着していますので、特殊な採取を行わない限り100%砂利混入のない灰は存在しないとお考えください。

その他さまざまな物質
純粋な原木を使えば、樹皮に付着した砂利・コケ・微生物の灰がのこる程度ですが、廃材を使いますと釘やネジなどの鉄分や、
接着剤や塗料などの化学物質の灰が混じります。
また、燃焼させる窯の素材の混入も考えられます。


細目のフルイで取り除いた不純物
クズ1.jpgクズ2.jpg
木炭粉、大粒の灰、砂利など







◆混入物を確かめるには?
不純物の混入を確かめるには、細かい目のフルイを使うと簡単にわかります。
洋菓子用のフルイや、網戸のあみを使ってください。

ふるい1.jpgふるい2.jpg







左官ゴテならし.jpg

不純物が少なければ、囲炉裏の灰を左官ゴテで均すと
このような美しい面ができます。

不純物が多いと灰の模様を描くことは困難です。





◆不純物を取り除くには?

細目のフルイにかける
すごくホコリがでるので都心では困難ですが、網戸のあみなどを使うと囲炉裏や火鉢用の灰としては
十分なほど不純物を取り除けます。
但し、砂利も木炭粉も限りなく微粒子がありますから、完全には無理です。
洋菓子のフルイを使えばもっと多く取り除けます。
上質な囲炉裏の灰にするにはできる限り細目のフルイにかけることです。

水ヒする
茶の湯で使う風炉灰など少量の灰なら水ヒも可能です。
※陶器の釉薬として使う場合も水肥が必要ですが、方法は異なるようです。
すごく手間がかかるので囲炉裏や火鉢の灰には無理ですし意味もありません。
灰をバケツなどに入れ、水で洗うように溶かします。バケツ程度の深さのある容器を使ってください。
○上に浮いた不純物を流し、何度も底まで混ぜてこれを繰り返します。
※この方法では浮力のある物質やアクしか取り除けません。
※上に舞い上がる灰は上質な微粉末の灰ですから流さないように!
※手袋をしないと強烈なアルカリ成分で手の皮がぼろぼろになります。

○何度か洗ったら静かに1時間ほど置きます。
○砂利や比重の大きい大粒の灰は底に溜まりますので、上から取って適当なところで止めます。
特に底の1〜2cmは不純物が多いです。
だいたい4〜5段階くらいの質に分かれるように思います。
難しいのは木炭粉が上質な上にある灰と分離しにくいところです。

○上質な灰が取れたら、再度バケツの水に浸してバスタオルなどで水を絞り取ります。
○新聞紙などに大きく広げて乾燥させます。
○翌日、生乾きの時にほぐします。乾かせながら繰り返しほぐします。これが結構大変です。
 完全に乾燥させるなら、フルイにかけながらほぐすと塊がなくなります。

※茶の湯の灰は湿らせて保管するようですが、そのあたりは私に経験がないのでわかりません。
これを何度も繰り返したりと茶人はいろいろと手をかけるようです。
茶人にとって灰はすごく大事なものらしいです。


七輪本舗の灰のフルイ  すみませんPRです。
私共が販売する木灰は細目のフルイ(30メッシュ)で不純物を取り除いています。

あみ3種.jpg
七輪本舗の灰は、右側の細目のフルイで
不純物を取り除いています。

七輪本舗へ



左:一般的なフルイ 炭焼き窯など一般的にはせいぜいこの程度しか使われません。
中:網戸のあみ   以前より七輪本舗で採用していたもの。
右:30メッシュ  七輪本舗が2006年7月から採用した細目のフルイ



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Posted by field5392 at 17:58│TrackBack(0)

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