灰の色は、原木の燃焼方法により大きく異なります。
灰の色は原木の種類によって異なることも考えられますが、
ナラ、カシ、クヌギ、などの広葉樹ではほとんど差を感じることができません。
差は無いかもしれません。
灰の色は、燃焼温度と時間、酸素量など陶器の色と同様に、その方法よるところが大きいと考えられます。
針葉樹や南洋木はおおよそ白っぽく、藤など特別に白い灰の樹木もあります。
燃焼温度による変化
←同じ樹種でもこんなに違います
3種共同じ「馬目樫:ウバメガシ」の灰
左:原木をそのまま燃焼させたもの
燃焼温度が低いので淡色です。
中:原木を備長炭にしてから燃焼させたもの
備長炭にする時に一度高温になるので濃いです。
※備長炭を燃焼させた灰は濃いほど備長炭の質がよいと言われます。
右:備長炭を高温の窯に長時間放置したもの
1000度ほどの高温に長時間さらすと特に濃色の灰になります。
ナラの木灰
←全て同じ原木「楢:ナラ」の灰
ナラは代表的な黒炭の原木で、
高級家具の材料としてもよく使われます。
ウバメガシの木灰
←全て同じ原木「馬目樫:ウバメガシ」の灰
馬目樫は紀州備長炭の原木として有名です。
※備長炭の窯は燃焼温度が高いので、濃淡の差が大きいです。
紀州備長炭の灰
これは原木をウバメガシとする2つの紀州備長炭が燃焼した後の灰です。
同じ備長炭でも上は濃色、下は淡色です。
このように同じ備長炭でも、原木の個体差や製炭方法により、灰の色に違いが見られます。
備長炭は濃色なほど、火力があり良質な炭とされています。
空気を含んだマシュマロのようなフワフワな灰が生まれます。
混ぜると普通の敷いてある灰に変化します。
美しい色の灰
これは色を楽しむための特殊な灰で、茶の湯や客人の御持て成しに用いられるものです。
「藤の木の灰」
とても白く美しい灰で、夏季に茶の湯の席で炉中に蒔いて、
涼しさの演出に使われます。
「菱の実の殻の灰」
特有の赤みのある灰で、
香炉や煙草盆に用います。
◆灰の質感----------------------------------------------------------------------------------------------------
灰の質感も燃焼方法により大きく異なります。
サラサラしたもの、モロモロしたもの、粒子の大小、比重の大小など、
燃焼温度や燃焼速度、送風の具合など窯の構造とコントロールにより変化します。
※木灰は湿気を持つとモロモロします。
燃焼方法が異なる灰
←全て長野県産のナラの灰
産地も同じナラ材ですが、燃焼方法が異なるものです。
灰ならしでならすと質感が大きく違うことがわかります。
←モロモロ サラサラ→
同じ原木でもモロモロ〜サラサラ感が
大きく異なります。
モロモロの灰
モロモロの灰は粒子が細かく一般的に上質な灰と言われますが、
灰模様が描けないので、囲炉裏の灰・火鉢の灰としては、
どうか???といったところです。
モロモロの灰は水分を含むと粘りがあり、陶芸の釉薬用、茶道用炉灰として
好まれることが多いようです。
共に水ヒなどの手を加えて使われます。
灰の目次へ戻る
Posted by field5392 at 21:28│
TrackBack(0)│