囲炉裏や火鉢の木灰の硬化について
ナラ、クヌギ、カシなど一般的に囲炉裏や火鉢に使われる木灰は、年月が経つと必ず硬化し固まってしまいます。
ワラ、モミガラ、草木類の灰は固まりませんが、ほとんどの広葉樹、針葉樹の木灰は固まると思われます。
固まる原因は、湿度、圧力、加熱です。
年月による硬化
囲炉裏や火鉢に入れた木灰は、底のあたりから硬化します。
柔らかい石の塊のようになりますが、あまり月日が経っていなければ簡単にほぐすことができます。
湿度の高い場所や時期によっては数週間で硬化します。特に圧縮した灰は固まりやすいです。
しかし、表面にサラサラした灰があれば支障ないのであまり気にすることなく、放置していても問題ありません。

入れる時はサラサラですが・・・・・


3年後、吸湿と乾燥を繰り返し、
砕かないと取り出せなくなります。

もちろん長火鉢の灰も硬化します。

これは50年ほど放置していた長火鉢からでてきた木灰の塊です。
梅雨の湿気と冬場の乾燥により、手ではほぐせないほど硬くなっています。
長火鉢から出す時はドライバーで砕いて出しました。
鉄瓶の吹き零れも塊を作る原因のようです。
灰の入れ替えなどしなければ、塊が悪いものではありませんので、
そのまま放置していても問題ありません。
要注意

古い火鉢から、繊維質の白い灰がでてきましたら、それはアスベスト(石綿)の可能性大です。
昔はアスベストの害を知らず、よく火鉢に入れて使っていたようです。

絶対に吸い込まないように!
適切な処理をしてください。
加熱による硬化


灰はどうしても空気中の湿度を吸収するので、炭火により加熱されると固まることが多いです。
炭火をどけると真下の部分に塊ができることが多いです。
一概には言えませんが、微粉末で不純物のない灰がかたまりやすいようです。
また、一度高温にさらされた灰や粒子の粗い灰は塊ができにくいです。

柔らかい塊なら灰ならしでほぐすと元に戻ります。
何度か繰り返すと固まりにくくなるように思います。


←高温にさらされた硬い塊
ほぐして使うか、あまり硬いものは処分してください。
変色した、硬い塊ができることがありますが、これはその灰が今まで経験したことのない高温にさらされた時に起こる現象です。
湿度を持った灰は、素焼きの陶器と同様に高温で加熱すると硬化する性質があります。また、変色は高温による変質によるものです。
灰は高温にさらされるほど濃色に変化します。
そのため、高温に保たれた白炭(備長炭)の窯から出る灰は、全て濃色です。
灰の色は樹種や燃焼方法によっても変化します。

これは極端な例ですが、1200度ほどの高温にさらすと
木灰が溶けてガラス状に固まります。
陶器の釉薬です。
囲炉裏や火鉢の炭火はせいぜい1000度前後にしかなりませんので、
この現象はおこりません。
これは七輪で1240度の高温にした時に珪藻土に付着した木灰です。
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