火持ちのよい木炭って?
この木炭は火持ちが良いとか悪いとか言われますが、どういう条件でそうなのでしょうか?
さまざまな燃焼条件に大きく左右されるのですが、まずは木炭の量を一定にしないと燃焼時間の比較ができないことは確か。
そこで、そもそも「木炭の量」って何なのか? を考える必要があります。
七輪に一杯分の木炭としたら、備長炭と黒炭では随分と重量が異なります。
備長炭の比重が黒炭の1.5倍あるとしたら、炭素の量も1.5倍ですから火持ちがよいのは、単純に木炭の量が多いからとも言えるわけです。
厳密には同じ重量でもカロリーが異なり、白炭より黒炭の方が高カロリーです。
木炭の成分はほとんどが炭素(C)です。(C)は酸素(O2)と結合して「熱エネルギー」として、二酸化炭素(CO2)となり空気中に消えてしまいます。
ですから、やはり木炭の量は体積でなく重量(炭素量)で比較すべきかと思います。
で、ここでは同じ重量の木炭により実験してみました。
一般的な木炭4種類での実験です
全て500gの木炭です
紀州備長炭・白炭 ≫ 楢切炭・黒炭 ≫ マングローブ・黒炭 ≫ オガ炭 → 全て500g
木炭の形状と燃焼時間について
木炭の燃焼には酸素が不可欠ですから、空気に触れる面積の大きい木炭ほど速く燃焼することになります。つまり、表面積の大きい小粒の木炭が速く燃焼します。
そのため、本来は木炭の大きさや形状もそろえて実験するべきかもしれません。
※実際には小粒の木炭が空気道を塞いでしまい、燃焼しにくくなることが多く、空気道を確保できて、かつ表面積の大きい「細く長い木炭」が最も燃焼が速いという結果になります。
4種類の木炭の燃焼時間 ------- 実験結果 ------------------------------------------------------
4種類の木炭をおおよそ同じ条件で着火、燃焼させ、1時間ごとに燃焼状態を撮影したものです。
※着火方法は前項の木炭の着火時間による方法です。
(おおよその目安にすぎません)
木炭は、粒の大きさ・形状、積み重ね具合などにより燃焼具合が大きく異なりますのでこの実験の結果には曖昧な部分があります。木炭の種類によりおおよその目安として、このくらいの差があるということでご覧ください。
▼紀州備長炭・白炭 1時間後 → 2時間後 → 3時間後 → 4時間後
▼楢切炭・黒炭 1時間後 → 2時間後 → 3時間後
▼マングローブ・黒炭 1時間後 → 2時間後
▼オガ炭 1時間後 → 2時間後 → 3時間後 → 4時間後
結果は、紀州備長炭→オガ炭→楢切炭→マングローブ の順で火持ちがよいようです。
ほぼ同じ500gの炭素量で、発生するカロリーもほぼ同じはずですが、これだけ火持ちに差がでるのは空気との接触差によるものです。紀州備長炭は木炭の内部密度が高く、空気が入りにくいので「低カロリー燃焼」を続けるためです。マングローブは特に空気が通りやすく、またガス成分による炎の発生で「高カロリー燃焼」となり、短時間でカロリーを消費してしまうのです。
備長炭は高温と思われがちですが、送風しなければ他の木炭より低温を保つのです。オガ炭も同様です。
このことはあまり知られていませんが、実際に温度計で測っても備長炭は、空気を送らなければ低温で燃焼しているのです。
その後の燃焼 参考までに -----------------------------------------------------------------
紀州備長炭・白炭 5時間後 → 6時間後
オガ炭 5時間後
木炭はそっとしておけば長時間燃焼します。
送風すると2時間で燃え尽きる木炭でも、
灰に埋まると10時間以上も燃焼します。
七輪で使う各種燃料の詳細はこちら「七輪の燃料」をご覧ください。
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