私共が販売する同じ程度の大きさの伝統工芸品の鉄瓶が、17,800円に対し、
量産品の鉄瓶が、 8,500円と2倍ほどの価格差があります。
これは鉄瓶に限らず、他の製品においても同様に南部鉄器には2種類の製造方法があり、価格が大きく異なります。
鉄瓶や茶釜には伝統工芸品が多いのですが、ジンギスカン鍋・ステーキ皿・フライパン・ご飯鍋・灰皿・置物などのほとんどは量産品として製造されています。
◆伝統工芸品 南部鉄瓶
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伝産法の指定を受け、江戸時代からの製造方法によるもので、職人の技能を活かした手作り度の高い南部鉄瓶です。
最も大きな違いは、鋳型(焼型)を職人が手作りすることで、鉄瓶の表面に現れる模様は職人の手により「模様押し」されたものです。
そのため厳密には同じ鋳型は存在しません。
この「模様押し」の技術が職人の腕の見せ所であり、最も時間のかかる工程です。
この工程による価格差が非常に大きいのです。
鋳型は10回ほど使われますが、3回・・1回、しか使わない高級品もあります。
それぞれの工程において、高い技術力が求められ、労力も大変です。
しかし、価格は1万円台〜と据え置き価格で、この工程を知ると「安すぎる!」と思えるほどです。
及源鋳造の伝統工芸品 南部鉄瓶「源十郎シリーズ」 こちらで販売中
伝統工芸品は職人の手作業により、表面の模様(鋳型模様)が作られるので、
表面の仕上がりにムラや個性(手作り感)があります。
そして職人技により鉄を薄く作っていますので軽量です。
※底も薄く作られているのでIHでも使えますが、熱効率が悪く不向きです。
伝統工芸品は、手作りのため細部を見ると一つとして同じものがありません。
鉄瓶やフタが茶色いものは、漆の焼付けの上にサビを付けて着色しているためです。
※洗剤やタワシで洗うとサビが落ちるのでご注意を!
◆量産品 南部鉄瓶
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量産品という言い方が正しいかどうかわかりませんが、鋳型を簡単に製造することで、大幅な労力を削減したという意味です。
他の基本工程はあまり変わりません。
アルミ製などの原型となる鉄瓶があり、原型に砂をプレスして鋳型(生型)を簡単に作ります。
美しい原型さえあれば鋳型は簡単に完成し、寸分違わず同じものが作られます。
また、簡単に作られた鋳型は使用後も手っ取り早く「型ばらし」され、使い捨てで1度しか使いません。
早く簡単に精度高く作られた南部鉄瓶です。
及源鋳造の量産品 南部鉄瓶
「東雲亀甲」8,500円(税込)200VIHクッキングヒーター対応
量産品は精度の高いアルミの原型からプレスされた鋳型を使いますので、非常に美しい、規則正しい模様に仕上がっています。
工程上、鉄を薄くできないので伝統工芸品とくらべて重いです。
※底も厚みがありフラットなのでIHに向いています。
←機械的な美しさが特徴です
瓶敷きなども量産品です。
そのため形が複雑でも安価なのです。
伝統工芸品と量産品の見分け方
まずは、鉄瓶表面の表情で区別できるのですが、わかりにくい場合はまず、ヘソの有無を見ます。
ヘソは鋳鉄を流し込む穴を埋め戻した痕跡です。
【伝統工芸品】 ▼裏側中央にヘソがあります
←裏側も手作り感があります
【量産品】 ▼ヘソがありません
←裏側も機械的な美しさです
そしてもう一つは、量産品の鋳型は縦割りになっているので、鉄瓶の内側に継ぎ目が見えます。
【量産品】 ▼鉄瓶内部に左右の直線「継ぎ目」があります
伝統工芸品と量産品の性能比較
上記製品の場合、基本的な性能は変わりません。むしろ、個々の鉄瓶のデザインによる性能差の方が大きいと思われます。
唯一異なる点は、職人の手業によって鋳鉄の厚みがコントロールされるため、伝統工芸品の方が軽く仕上がっていることです。
もっともっと高価な鉄瓶とは?
南部鉄瓶は1個で数十万円もする高価なものが多くあります。それは著名な職人のブランド力であったり、高い技術力と労力であったり、
原料に高価な砂鉄を使ったり、表面処理工程に手間をかけていたりと、大きな付加価値と高価な原材料、
労力付加により高値となっているものです。和包丁や日本刀と同じです。
もっともっと安価な鉄瓶とは?
南部鉄瓶には無理ですが、中国製の鉄瓶にはかなり安価なものがあります。
基本的な製造方法は変わらないのですが、なんといっても人件費による価格差が大きいようです。
材料の質も異なるようです。
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