五徳の役割り
五徳は、鉄瓶・鍋・焼き網、を支えるほか、灰模様や炭の扱いに影響を与え、装飾的な役割りがあります。
形状的な特徴から使い方が大きく異なりますので、それぞれの特徴を知った上でお選びください。
五徳の材質
○鉄製
鋳物、鍛造、機械加工品がありますが、いずれも鉄である限り赤サビは覚悟しなければなりません。
サビはが目立つと食用油などを布につけ、ふき取るなどのメンテが必要です。
また、ひどいサビは耐熱塗料などで補修することもできます。
銀メッキ、ブロンズメッキ、耐熱塗装、漆などは加熱により、間違いなく落ちてしまうものとご理解ください。
○真鍮製、銅製
光沢がなくなり、サビ(緑青や黒く変色)がでます。
症状が軽いうちに金属磨き(ピカールなど)で磨くとピカピカになりますが、変色した色合いを好む方も多いようです。
真鍮は銅と亜鉛の合金で、銅を多く含むので変色もよく似ています。
○陶器製
ほとんどが古道具でしかありません。腐食はありませんが、やはり割れる可能性は避けられません。
五徳の種類
■三ツ爪五徳-----------------------------------------------------------------
三点で支える理由は、鉄瓶をのせてもガタツキが発生しないためです。
3本では少ないと思われるかもしれませんが、4本ではテーブルのようにガタツキがでますし、実際に使用しますと3点支持で十分なことがおわかりいただけると思います。
このタイプは輪の部分の背が高いため、炭をかき出したり、灰に穴を掘ったりしにくいという短所があります。
しかし、あまり深く埋めずに使用すると周囲の灰模様を整えやすく、炭粒などが外へ飛びなさないという長所を持ちます。下部の木灰をしっかりと押し固めておけば、鉄瓶をのせても沈み込むことはありません。
この機能を活かすには、囲炉裏での使用に向いているかもしれません。
同じ三ツ爪五徳でも輪の部分の背が低く、足長の五徳であれば、炭をかき出したり、灰に穴を掘ったりしやすくなります。
真鍮三ツ爪五徳
陶器の三ツ爪五徳です。
一部で販売されていますが、ほとんど古道具でしかみかけません。
写真提供古道具齋明堂
三ツ爪五徳は、上部に輪がないので灰模様を描くことができます。
■三ツ爪五徳 前欠け----------------------------------------------------------
もともとは茶の湯で、前面に火窓のある風炉で使う五徳で、前土器という素焼きの皿をこの部分に差し込むため、輪の一部がカットされています。
しかし、この機能は火鉢でも有効で、背の低いタイプでも輪が邪魔にならず炭の火力を調整しやすいものです。また、サイズが合えばパイプ銅壷も使いやすくなります。
前欠けを炭火の触りやすい方向に向けて置きます。
前欠けがあるため五徳が不安定になるということはありません。
左:岩鋳五徳 虫喰いなし 右2つ:鋳物五徳(中国製)
■上輪五徳------------------------------------------------------------------
3本の足を繋ぐ輪が上にあるタイプです。
独特の意匠性がありますが、条件を選ばないと使いにくい五徳です。
瀬戸火鉢では輪が邪魔で炭火がさわりにくくなります。
また、足の先端が細く、鉄瓶などをのせると沈みがちです。
鉄瓶が輪にかかると、ほとんどの場合ガタツキがでます。3点支持にならないためです。湯が沸騰するとジージー、ガタガタ鳴り出すこともよくあります。
右の写真のようなよほど小さな鉄瓶なら、内側の三ツ爪にかかるのですが、現実的ではないように思います。
■自在五徳(じざいごとく)------------------------------------------------------
高さ調整のできる七輪本舗の自在五徳です。
高さを変えて火力調整ができ、一本足のため美しい灰模様を描けます。
■丸呂金五徳(円形五徳)-----------------------------------------------------------
大きな丸火鉢に使う五徳です。
炭火を触りやすくするため、中央の五徳が回転するよう工夫されています。
写真(右)提供:古道具齋明堂
■吉原五徳---------------------------------------------------------------------
長火鉢用の五徳で、角材を用いて4本足の長角形に格子組され、鉄瓶をのせる部分が左右にスライドします。
福島県喜多方市 甲斐本家の火鉢
左下のものは吸殻入れ、右は燗酒などをする銅壷(どうこ)
■竈(かまど)タイプ---------------------------------------------------------
長火鉢用の五徳として様々なデザインの竈タイプの五徳があります。
保温性、湯沸し性能、意匠性に優れています。
左端のものは仙台五徳と言われます。
■銅製銅壷(どうせいどうこ)-------------------------------------------------
長火鉢用の五徳で内部に湯を貯めることのできる銅壷(どうこ)を内蔵しています。湯を汲んだり、徳利を浸けて酒燗などができるようになっています。一般的に五徳と言わず、銅壷と言います。
写真提供:古道具齋明堂
■金輪(かなわ)----------------------------------------------------------
囲炉裏用の大きな五徳で、岐阜県白川郷、飛騨地方などで金輪と呼ばれるものです。
三ツ足五徳とよく似た形状ですが、サイドから炭火を触り、輪が大変大きく、輪に鍋や鉄瓶がかかりませんので、ガタツキがありません。足も沈み込まないよう工夫されています。
白川郷、和田家の五徳です。
和田家(観光協会ホームページ)
七輪本舗の囲炉裏五徳
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