吉島家住宅
重要文化財吉島家住宅
岐阜県高山市大新町1丁目51番地
TEL 0577-32-0038
見学可 入館有料
酒造を家業とするため、軒先に杉玉(酒ばやし)を掲げています。幕府に多額の運用金を献上したほどの豪商です。
私の知る限り最も美しいと感じる古民家建築です。
この建物のように、年を重ねるごとに美しくなる建築物は、現在ではほとんど作られていないと思います。残念です。
やたらと太い柱や梁を使う田舎建築とは明らかに異なる高度なデザイン力、技術力を感じます。
例えばこの梁のかけ方をよくご覧頂きたいのですが、美意識が高いというかセンスがよいというか、「粋」を感じる建物です。
棟梁は、名工「西田伊三郎」氏で、
明治38年の火災後の建物です。
玄関を入ると右側に座敷が広がります。
中央の大きな格子戸を抜けると右に上座の囲炉裏、どじをはさんで左に下座の囲炉裏があります。松本家と同様に向かい合わせとなっています。
赤い「弓張」と書かれた弓張提灯(ゆみばりちょうちん)の箱の向こう側に上座の囲炉裏があります。柱や梁に赤みがあるのは、春慶(しゅんけい)塗りという漆塗りのためと言われています。
上座の囲炉裏です。洗練されたすっきりとした意匠です。
自在鉤も木を使わずシンプルな鉄製で、このあたりも柱や梁、建具など、意匠との兼ね合いを考えていると思います。北陸の特色である大きな木製の空鉤(そらかぎ)がないのも、空鉤の主張が意匠の邪魔なためか?と思います。
下座の囲炉裏です。
畳敷きと板敷きが段差を作って分かれていますが、使用人のランクで座が決められていたようです。丁稚どんは板敷きで正座させられていた?と想像します。あるいはここまでも上がれなかったのかもしれません。
豪商の証、大空間の吹き抜けの立体格子です。
横方向からの光の取り入れ方が見事で、ごてごてとせずすっきりとした美しさです。
高窓は縄を引いて開閉されます。
もちろん、囲炉裏とは別に竈があります。取材の時は見かけませんでしたが、複数の火鉢もあったと思います。
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Posted by field5392 at 15:09│
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