絆、統制
囲炉裏で食事をとり、暖をとり、炎が明かりとなるのですから、家族は囲炉裏の周囲に集まざるを得ません。そのため一家団欒や家族の絆は自然と保たれたと思われます。
豊かさも、貧しさも囲炉裏の鍋を分かち合うことで家族全員に伝わり、カカザに座る主婦がシャモジ一つで食事を取り分ける時、その順序や分量など絶妙のさじ加減で家族の絆、和を保ったと思います。


家内での上下関係も明確で囲炉裏に座る位置も決められていました。
例えば、主人の席であるヨコザには、主人かお坊様しか座れないなど、外部の客人との関係も明確だったようです。
囲炉裏の座名へ
合掌造りなど大家族での生活では、2つの囲炉裏を使い分けています。
一つは主人・主婦・長男・客人など地位の高い人用、もう一つは次男以下・使用人などと決められていました。

このような囲炉裏の使い分けは、商家でも見られます。
家人と使用人により、使う囲炉裏が分けられていることが多くありました。
飛騨高山の「吉島家住宅」の囲炉裏


左:主人・身内・客人用の囲炉裏 右:使用人用の囲炉裏
通路を挟んで向き合うように2つの囲炉裏が設けられ、全員の顔が見えるように一体感を持たせながら、明確な線引きを行なっています。
使用人の囲炉裏には段差があり、さらに区分けがあったと思います。
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