暖 房
竪穴式住居の時代から、囲炉裏は室内で唯一の暖房設備として大きな役割を果たしてきました。体を暖め、家中を暖めます。
火鉢などの暖房具は、木炭が普及した明治時代以後に多くの地方で普及しました。
合掌造りの家では2階、3階で養蚕を行うため、囲炉裏の熱が養蚕を促進させたといわれます。
岐阜県、白川郷の民家
(右:日本民家集落博物館にて撮影)
囲炉裏の熱で2階、3階と家中を暖めることのできる合掌造りの家。
明治の末まで囲炉裏を囲んで大家族が暮らした。
大きな家では30〜40名もの大家族になることもあったようです。
合掌造では、1階が主な居住空間で多くの場合、囲炉裏が2つあります。2階、3階は養蚕に使用していました。
1つは客用・主人用の囲炉裏、もう一つは次男以下・使用人用の囲炉裏の2つに分かれており、身分の差ではっきりと区別されていました。
特に冷たくなる足先を暖めやすいように、炉縁(囲炉裏を囲む木枠)は低くなっています。東北地方など特に寒い地域では掘りごたつのように、足を下ろして暖をとるものもあります。現在、よく見かけるテーブルのように高い炉縁の囲炉裏は足元が暖まらないので存在しなかったようです。
暖かい囲炉裏の周囲で眠ることも多かったようです。
囲炉裏の上部は、熱と煙が上へ抜けるように格子組みになっています。
これにより上階も含めて家中が暖かくなります。
これは、踏み込み炉(ふんごみろ)と言われる囲炉裏で、土足のまま足元から暖がとれるようになっています。農作業などの仕事中に手っ取り早く食事ができ、井戸端会議の場としても便利だったと思います。この囲炉裏の熱は同じ棟にある厩(うまや/馬小屋)にも達し、家族同然の大切な馬も暖をとることができました。
岩手県 南部の曲家
踏み込み炉(ふんごみろ)
日本民家集落博物館にて撮影
曲家では囲炉裏に座ると馬の様子を見ることができるよう設計されています。
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Posted by field5392 at 19:46│
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