2005年10月06日

紀州備長炭の種類

2016年改訂 

紀州備長炭の原木には様々なものがあります。
これを知っていれば、ちょっとした備長炭「通」かも?です。


知られていない カシ、その他の原木の紀州備長炭
ウバメガシ以外の紀州備長炭があることは、生産者・問屋さんなどでは常識なのですが、
生産量が少なく流通経路が限られているので、販売業者さんでも知らないことが多いです。
オンライン上での販売業者さんなら、たぶん詳細を知らない人の方が多いのでは?と思います。
販売業者さんの中には「ウバメガシ以外は本物ではない!」などと表記するほど。勘違いも多いです。


紀州備長炭とは
そもそも紀州備長炭とは、製炭方法と産地により規定されています。紀州備長炭特有の窯を使い、
昔から受け継がれた製炭方法により、産地で生産されたものを紀州備長炭と言います。
そのため、原木が何であるという規定はないのです。
ただ、下記規格以外の原木で製炭しても、買い手がつかない、とても安価、という理由から製炭されないです。




紀州備長炭の規格----------------------------------------------------------------------------------------------------------------
紀州備長炭は規格上、下記4種に分かれます。
しかし、実際に生産され、流通している紀州備長炭は、1)馬目がほとんどで、せいぜい2)備長までです。
3)楢、4)雑はかなりレアなもので引き取り価格も低く、ほとんど製炭されることはありません。


※規格とは備長炭の箱に書かれる「名称」です。この規格と形状による分類(小丸、半丸、割りなど)で価格が決まります。


1) 馬 目  原木: ウバメガシ ※ウバメガシはナラ科の植物でカシ類ではありません

現在流通する95%以上がこのウバメガシ(姥目樫、馬目樫とも書きます)を原木とするもので、紀州備長炭の代表格といえるものです。
備長炭の中で最も比重が大きく、強烈な赤外線を放ち、高火力で日持ちのよい炭です。

馬目.jpg

表面のひび割れが多く、荒々しいのが特徴です。






2) 備 長  原木: アラカシ、アカガシ、ツクバネガシ、シラカシ、ウラジロガシ

「樫(カシ)」と表記されることもありますが、正式には「備長」と称します。
紀州備長炭としては少量で、農協や一部の炭問屋さんで流通されます。
馬目以外の紀州備長炭(5%以下)のほとんどを占めます。
「馬目:ウバメガシ」より比重が小さく、同じ15kg箱(出荷用)に入れても、体積が大きいです。
備長規格の代表格がアラカシで、ほとんどを占めます。
火力は馬目よりやや弱いですが、その分ゆっくり長時間燃焼するので、囲炉裏や火鉢ではこの備長を好む方が多いです。
※備長という名はわかりにくいので、当店では「カシ」と称しています。
アラカシ.jpg

肌目がやさしく綺麗なのが特徴です。





「ウバメガシ」より製炭が難しく、2日ほども余分に時間がかかるので好んで製炭されませんが、
「カシ」の伐採しやすい、よい山にあたると製炭する人も多いです。
大抵の炭焼きさんが、1〜2年に一度くらい製炭します。
ウバメガシより水分が多いので、水分の少ない冬季を中心に製炭され、新芽の出る春の二ヵ月ほどは製炭できません。


←左2本 ウバメガシ  右2本→ アラカシ
馬目/かし.jpg







左の「ウバメガシ」は曲がりが強くあらあらしい。
右の「アラカシ」は直線的で、肌もつるっと優しい感じです。



3) 楢(ナラ)  原木: コナラ、ミズナラ

楢規格の紀州備長炭は、全国の一般的な白炭よりしまりがよく、比重が大きいです。
かなりレアなもので製炭されることもほとんどなく、写真を撮る機会すらありません。




4) 雑  原木: ソバ、アカメ、ヤブツバキ、トネリコ、カマツカ、サルスベリ、イチイガシ

燃料不足の昭和初期は多く製炭されていましたが、現在はほとんど製炭されません。
「雑」と称しますが、製炭方法も同じ紀州備長炭で、よくしまった出来の良い白炭!といった感じです。
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大きな3号箱に入れて出荷されます。




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●黒炭 ※紀州備長炭ではありませんが参考まで
最近はほとんど生産されず絶滅に近い状態です。
ごくわずかに「うばめがし」や「なら」などの黒炭も製炭されます。
備長炭と比べて採算が合わないので、最近では自家使用や趣味的な製炭しかありません。
※黒炭用の窯が使われ、紀州備長炭の窯では製炭されません。



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Posted by field5392 at 15:21│TrackBack(0)

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