2006年09月05日

囲炉裏の道具 自在鉤

自在鉤は種類が多いので独立ページに移しました。


■自在鉤 じざいかぎ---------------------------------------------------------------------------------------

自在鉤は鍋や湯釜などを吊るし、高さを変えることで火力調整のできる優れた道具です。
また、五徳を使わないことで火元に障害物がなくなり、薪をくべやすくする働きもあります。
代表的な囲炉裏道具と思われますが、実際には使われないことも多く、必ずしも必要な道具ではありません。
世界遺産白川郷や、かやぶきの里京都府美山集落の囲炉裏にはほとんど自在鉤は存在しません。
その代わりに種々の大きな五徳(金輪)が多く見られます。
囲炉裏はその地域独自で進化してきたものなので、地域の特色が強いようです。

使い方は「自在鉤を使う」、「五徳を使う」、「併用する」の3つに分かれるようです。

構造としては固定された「吊り棒」と上下する「鉤棒」でスライドさせるタイプと折り返した縄の長さで調整するものの2種類が代表的です。
東北地方では波型の木製のもの(下記参照)が多くありますが、さまざまな方法が考えられるので、いくつもの種類があったと思われます。
装飾は縁起をかついだお目出度いものが多いです。
魚は火を鎮めるなどの意味もあるようでよく使われますが、実際には形状的につくりやすく囲炉裏で焼く魚のイメージがあるためではないかと思います。


 かぎ
鍋をかける部分を鉤と言います。
鉤鉤1







鉤 2
現存する鉤はほとんどのものが金属製ですが、
昔はこのような木製のものも多かったと思います。











横木 よこぎ
横方向の材で鉤棒を支えるものを「横木」と言います。
横木.jpg
扇や魚形など多種あります。









中通し式・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
代表的な自在鉤で、筒(吊り棒)の中に上下する細い棒(鉤棒)を通してあります。
写真は昔のものですが現在販売されているものも多種あります。
囲炉裏らしさを表現しやすく、飲食店の装飾としてもよく使われます。
竹、木筒、鉄、真鍮、縄などさまざまな材料で作られています。

11.jpg

鍋をかけると魚(横木)の頭が下がり尻尾が上がって
魚と縦棒の摩擦でストップする仕組みです。
そのため鍋を下ろさないと高さ調整ができません。








荷重を支えるのは魚とロープ
自在鉤にかかる重量は大鍋などを使うと10kg以上にもなります。
上の写真の自在鉤では、この重量が「魚」と「ロープ」にほぼ100%かかります。
棒の中央部(魚の頭から上)は荷重がバイパスされるのです。
安全に使用するため、使用する自在鉤はロープと魚の部分の強度をよく確かめる必要があります。
竹とロープが貧弱な金具で固定されていたりすると危険です。

21.jpg22.jpg23.jpg













自在鉤 竹1自在鉤 竹231.jpg













自在鉤 竹各種自在鉤 千両
横木は「鯛」「鯉」「一の字」「扇子」など
お目出度い物が多いです。











自在鉤 1自在鉤 2
ちょっと愛嬌のある鯛の横木です。
(尻尾にかけてあったはずの縄がはずれています)






真鍮自在鉤 飛行機真鍮自在鉤 鯛
真鍮製の自在鉤は戦後に作られたものです。
鋳物で華やかな形状に作られています。

飛行機とパラシュートなど楽しいものもあります。
(岩手県遠野市、水光園所蔵)


自在鉤 大砲
魚と、なぜか大砲です。時代の象徴でしょうか。
(北海道 旧余市福原漁場 上座の囲炉裏)






自在鉤 横木2自在鉤 横木3














自在鉤 魚自在鉤 鳥自在鉤 2自在鉤 小槌












↑北海道の商家のもの  商家の自在鉤は華やかなものが多いです。




スライド式・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
原理は中通し式と同じですが、2本の棒が平行に並んでいます。
鉄製が主ですが木製(角材)もあります。
鉄製のものは農具や生活用具などなんでも作る村の鍛冶屋さんが作ったもので、
手仕事の自由さを活かした面白いデザインのものが無数にあります。
一家の主も独自のものをほしがり、職人さんも常に異なるものを楽しんで作っていたように思います。

鉄製
スライド自在鉤スライド自在鉤 拡大

全て鍛冶屋さんの手作り











41.jpg42.jpg43.jpg44.jpg











↑岐阜県 吉島家住宅の囲炉裏の自在鉤



↓香川県高松市 旧中石家住宅  
自在鉤 魚1自在鉤 魚3自在鉤 魚2鍛冶で作られたかわいらしい魚です













↓香川県高松市 旧中石家住宅 隠居屋
自在鉤 スライド













木製(角材)
スライド木製自在鉤62.jpg













自在鉤 横木1
デザインは無数にあり、鍛冶屋さんの遊びごころを感じます。






自在鉤 横木4自在鉤4













鉤(かぎ)の部分もさまざま
自在鉤 1自在鉤2自在鉤3














スライド自在鉤.jpg自在鉤1
当店のスライド式自在鉤
販売中














縄掛け式・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
最もシンプルな構造で自在鉤としての調整機能を果たします。
下部の鉤に重みがかかることで、縄がしっかり止まります。

自在鉤 縄12.jpg













51.jpg52.jpg
←石川県 喜多家住宅の囲炉裏












自在鉤 ニシン
←北海道の鰊(ニシン)御殿のもの。
たぶん鰊?だと思います。






空鉤 4空鉤 2自在鉤 縄
←北海道 鰊御殿のもの












自在鉤 販売品自在鉤 31
←当店の阿吽(あうん)の鮭 自在鉤
こちらで販売中です














波形 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
※固有名称があると思いますが不明です。
東北地方特有の囲炉裏の自在鉤で、木を波形にカットして作られています。
全てを木製とすることもでき、鍛冶が不要なので自家製のものが多く普及したと思います。
東北地方では白川郷のような大きな五徳(金輪)を使う習慣がなく、大家族の南部曲り家などでは重い大鍋を使う必要があり、
より頑丈で確実に止るこのタイプが普及したのではないかと思います。

自在鉤自在鉤木製1













自在鉤木製2自在鉤木製3
←鉄棒を使用したものもあります













その他 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
71.jpg
チェーンとターンバックルの自在鉤(七輪本舗の囲炉裏)
ホームセンターの建築資材で作ったものです。
耐熱塗料で黒く着色しています。
高さが自由に変われば自在鉤として機能しますから、
他にも様々な方法があると思います。
自作するのも楽しいと思います。










■ 空 鉤 そらかぎ-------------------------------------------------------------------------------------------
空鉤は北陸地方で独特の形状のものが見られます。
縄を掛けるだけで機能的な意味合いは少なく装飾的なものです。
どうしてここまで大きく象徴的、装飾的になったのかわかりませんが、守り神が宿るなどの迷信的なものがあるようです。
※文献などご存知の方、是非ご一報ください。

50.jpg53.jpg
←石川県 喜多家住宅












空鉤1
←北海道 小樽市鰊御殿のもの







61.jpg63.jpg
←岐阜県 松本家住宅












空鉤 3
←北海道 浜益鰊御殿







空鉤
←東北地方の空鉤












空鉤 大1空鉤 大2
←北海道 旧下ヨイチ運上家

運上家の上座、下座の2つの囲炉裏には巨大な空鉤があります。
写真左は全長3m以上もある巨大空鉤です。












※囲炉裏の道具は発見次第、随時追加してまいります。まだまだあると思います。

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Posted by field5392 at 17:29│TrackBack(0)

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