2006年04月19日

囲炉裏の設計 2   (囲炉裏の作り方)

  
◆囲炉裏の基本スタイル◆-------------------------------------------------------------

まず、このあたりを明確に
○燃料は「薪」or「木炭」 
○炭火料理を「する」or「しない」


囲炉裏の燃料  「薪」 or 「木炭」------------------------------------------------------------------------------------------
囲炉裏は使用する燃料などにより、排煙設備が必要になります。

■「薪:まき」を使う
現在の囲炉裏では少ないですが、環境さえ整えば薪囲炉裏には独特の楽しさがあります。
薪をくべる楽しさには、炭火で味わえない格別なものがあります。
但し、真上に大きなフードでも設置しない限り、煙の臭気で大変です。昔の人は平気だったのですが・・・。
炎は上部への対流熱なので鍋を使った煮炊き物に向いています。
焼き物は熾火にすればできますが、炎で黒焦げになりがちです。
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薪の炎は魅力的です







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芝刈りや樹木の伐採、薪割りなどの楽しさも加わります。
薪作りを趣味とする方も大勢おられます。





薪を燃やすにはそれなりの覚悟(楽しさ?)が必要。
部屋中に煙が立ちこめ、ヤニが付着します。部屋の物品や衣服にもすぐに煙の匂いが付着し、慣れないと煙たくて居られないかもしれません。
昔の人は皆このような環境で暮らしていたのですが・・・。
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囲炉裏の真上の火棚はヤニとススで真っ黒です。
それなりの環境が必要です。





「薪」囲炉裏の要点
○煙の排出設備が必要(囲炉裏の真上に排気ダクトを設けるか、排煙口を設けヤニ・臭気が付着してもよい家屋に)
○薪の確保、置き場所が必要
○煙が出るので町中では困難
○火の粉が舞い上がるので防火対策も万全に
※「薪」を使える囲炉裏なら、もちろん「木炭」の使用も可能です


■「木炭」を使う
現在の主流は木炭の囲炉裏です。煙、スス、臭気がないためです。残念ながら薪のように炎が立ちませんが、木炭は入手しやすく少量でも手軽に使えます。
赤外線が多く、炭火焼き料理に向いています。また、薪より火持ちがよいので扱いが楽です。

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もちろん湯を沸かすことも。






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木炭は少量でも火力を保てるので
小さな炉でも使うことができます。





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長い木炭を使うと薪風の燃やし方もできます。






「木炭」囲炉裏の要点
○焼肉など煙の出る炭火料理をするなら、換気設備が必要。※詳細は下記
○炭火料理をしないなら、特別な換気設備は不要。石油ストーブの使用時と同様に時々窓を開ける程度で十分。マンションなど一般住宅で使用可。
※少量でも「薪」は使えません。また木炭も臭気や煙のない上質なものに限ります。



炭火料理  「する」 or 「しない」---------------------------------------------------------------------------------------

■「する」 たまにするも含みます
換気設備が必要
炭火料理は焼肉・焼き鳥・焼き魚など脂の落ちる食材は強烈な煙が出て、脂に火が着き炎も上がります。
炭火料理はこの煙で食べ物を燻すことで風味を増しますから、煙を出さない炭火料理は、鉄板焼きと大差なし!と思います。煙は不可欠なのです。
そのため、できれば囲炉裏の真上に排気ダクトが必要です。
このダクトはかなり大がかりな設備となり、囲炉裏部屋の雰囲気も変わってしまい、多くの場合、風情がなくなります。費用も数十万円〜と高額です。
焼肉・焼き鳥店で使用する、煙や臭気を取り除くことのできる排煙設備は、2、3百万円もかかります。
ただ、少々煙っても臭いが残ってもよいなら、普通の換気扇でも対応できます

どれだけ使うかわからないなら、窓に向けて扇風機で強制換気するという方法もありますからよくご検討ください。
それと冬に強い換気をすると強烈に寒くなることをお忘れなく!


もちろん、カニ・エビ・貝類・野菜など煙の少ない食材を選択することも可能で、この場合は、窓を開ける程度でも可能です。

臭気対策が必要
焼肉など脂の落ちる料理は、脂が飛び散り灰が脂だらけになり、食材も落ちてかなり汚れます。臭いなど平気という環境もあると思いますが、普通では耐えられなくなり、灰を処分し入れ替えることになります。
二日酔いの朝、囲炉裏部屋に入ると臭気でゲロッ!となることを想像してみてください。
木灰は高価ですから、安価なセラミック灰など代用品を使うこともご検討ください。

囲炉裏で炭火料理をしたい方 必見
決して炭火料理反対論ではありません。こういう方法もあり!という提案です。
○炭火料理もしたい、しかし囲炉裏は美しく保ちたいなら、囲炉裏は炭火での湯沸しを基本にして、たまにスルメや餅くらいは焼く。
本格的な炭火料理は七輪で楽しむ。七輪は室内、屋外に運搬が簡単で、炭火のパワーは囲炉裏より優れています。
○屋外にバーベキュー囲炉裏を設置して煙や臭気を気にせず存分に楽しむ。
○火鉢(囲炉裏テーブル)を使う。
移動可能なテーブルなら天気のよい日はベランダや庭で炭火が楽しめます。台所など換気しやすい場所での使用も可能です。
  ・・・一度このようなこともご検討ください。
それでもやはり囲炉裏で炭火料理に限る!と思われる方のみお楽しみいただければ幸いです。


■「しない」
炭火料理をしないなら、何と言っても茶の湯的な使い方が主流になります。
鉄瓶や茶釜でお客様にお出しする茶の湯を沸かす囲炉裏です。
油汚れを気にせず、五徳や瓶台などをそろえることもできます。

換気設備は不要
煙や臭気が出ないので特に換気設備は不要です。石油やガスヒーターの使用時と同様に一酸化炭素中毒にならないよう窓を開けて換気してください。

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常に美しい囲炉裏でお客様を迎えることのできる上品な囲炉裏です。
美しい灰模様もかかせません。

餅、スルメ、タラコ程度なら換気設備無しで焼けますので
ちびちびお酒を楽しむことくらいは可能です。



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茶香も是非お楽しみください。
茶香炉






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Posted by field5392 at 10:20│