2005年11月07日

近年の囲炉裏の役割

電気もガスもあり、多くの物質的な豊かさが満たされた現在、囲炉裏には今までになかった新たな役割が見出されています。そして囲炉裏はますます進化し、増加する傾向にあります。

その新たな役割は、

団欒・家族の絆 (コミュニケーションの場、人をひきつける場)
ほとんどの場合、その最大の目的は団欒の場を作ることです。囲炉裏には人を集める不思議な力があります。その力を利用して多くの旅館や飲食店にも囲炉裏が作られるほどです。かつては無意識のうちにできていた家族の絆も囲炉裏の役割が大きかったと思います。
今では絆を取り戻すため、あえて囲炉裏を作り、家族や知人と楽しく過ごす、スローライフを作り出そうという目的が主なものとなっています。

それに伴い、当然のことながら飲食が不可欠な要素となります。
食事の場、お茶の場としての囲炉裏が求められ、スローフードの意識も強いようです。スローフードは、ファーストフードの逆です。

癒し、セラピー的効果
これは昔の囲炉裏には求められなかったもので、少なくとも意識的にはなかったと思いますが、火を見る、火を操る、灰に模様を描くという行為には明らかに癒しの効果があり、セラピー的な要素もあると思われます。

囲炉裏火.jpg囲炉裏徳利.jpg








暖をとる
昔ほどではないにせよ、囲炉裏で暖をとることはかかせません。
囲炉裏の火は単に体を暖めるのではなく、気持ちを暖めてくれる火であり、本能に訴える何ともいえない魅力があり、自然に人を集めるものです。
体温を上げるための暖を取るという行為が、心の温度を保つためのものへと変化しているようです。

もてなしの場としての復活
元来囲炉裏はもてなしの場としても使われていましたが、何故か現代人にとって囲炉裏は実に象徴的で、それがあるだけで「囲炉裏のある家」「囲炉裏のある旅館」などと言われるほど、室内装飾にインパクトを与え、もてなしの場としての強調性をもちます。
また、さまざまな道具や灰の模様も優れた装飾で、お客様を持て成す気持ちを表現することもできます。
そこには「和の心」で持て成すことを粋に感じることのできる、豊かな世界が広がります。茶の湯の席にも似ているように思います。

七輪本舗の囲炉裏.jpg

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現在の囲炉裏の役割は、スローライフ、スローフードの考え方に基づき、主に精神的な豊かさを求めるものとして位置づけられています。今は、昔の囲炉裏を振り返りながら、これからあるべき姿を模索している変革期にあり、これからますます新たな形態の囲炉裏文化が栄えると思います。

家庭をはじめ、周囲から「火」がなくなりつつある現在、火を求めて囲炉裏を作るという動きは、本能的であり自然な行為であると思います。
数万年もの間、火と向き合い生活してきたのですから、必ず誰にでもDNAに「火」とい文字が刻み込まれているはずです。



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Posted by field5392 at 14:07│TrackBack(0)

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