2016年11月15日

囲炉裏・火鉢の耐火断熱

囲炉裏・火鉢の断熱、耐火について

囲炉裏や火鉢を安全に、かつ有効に使うためのポイント解説です。


最も有効な安全策 --------------------------------------------------------------------

炭火の使用量を守ること
炭火による加熱の危険性は、使用量、使用位置、送風(酸素量)、使用時間により決まります。炭の種類はあまり関係しません。
特に守るべき安全策は炭火の使用量と位置で、想定内であれば加熱の危険性はかなり少なくなります。

下の写真は昭和初期以前の古いもので、木材に銅板を貼り合わせたり、漆喰(しっくい、土)を塗ったりする程度の防火対策ですが、
炭火の使用量と位置(中央のみで燃焼)を守り、安全に使われていました。
大きな飲食店では数十個もの火鉢を使用していましたが、お客さんも含め、皆が炭火の使い方に慣れていたのです。
木製ですから、大量の炭火を使ったり、側壁付近で使うと、当然のことながら燃えてしまいます。
現実的に炭火周り全てを耐火材にすることは困難でしょうから、最終的には炭火の使い方を守る! 加熱具合を確かめる!ことに尽きるのです。
そして、炭火を着火させる場所、保管する場所(火種コンロなど)、使用する場所、消火させる場所、全てに配慮が必要です。
特に飲食店の場合、炭火の扱いに無知なアルバイトの方も多いですから、十分な注意が必要です。


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※木炭を継ぎ足さないこと
着火していない木炭の継ぎ足しを行うと爆跳(ばくちょう:木炭が勢いよくはぜること)することがあります。
小さな炭火が飛び散ると床やテーブルが焦げたり、人に当たると衣服が焦げ、火傷やケガの恐れもあります。
特に湿気た備長炭で起こりやすい現象ですが、稀に黒炭でも強烈な爆跳があります。

爆跳の詳細はこちら

※一酸化炭素中毒にご注意を
炭火使用時は必ず、換気を行ってください。一酸化炭素中毒は死亡事故につながります。
詳細はこちら






3種の熱対策を --------------------------------------------------------------------

炭火には3種類の熱伝導があります。この3種類の熱を考慮する必要があります。

1) 対流熱 炭火から上昇する熱、炎。上面に伝わる熱。
2) 伝導熱 炭火に接触する素材から伝わる熱。主に底面に伝わる熱。
3) 輻射熱 炭火の全方向に飛ぶ赤外線。主に側面に伝わる熱。





1) 対流熱 の対策 

炭火から上昇する熱、炎ですが、上部に十分な空間があり、木炭を使用する場合は、特別な対策は不要です。
ただ、煙が舞い上がるように、対流熱の力は大きいので、上部に耐火性のある素材を用いることです。
もし、何かが燃えて火の粉が舞い上がっても、燃焼しない素材であることが必須条件となります。
※炭火の直近に煙突を設ける場合は、煙突火災に気を付けてください。



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2) 伝導熱 の対策 

炭火に接触する素材から伝わる熱です。
木灰やセラミック灰など適正な灰を深さ10僂曚鋲れれば、断熱効果を発揮するので大丈夫です。
昔の火鉢の多くは木製や燃えやすい竹カゴ製なども多くあり、灰で断熱することで問題なく使っていました。
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灰の量が少ないと炭火が潜り込んでしまった時、このように木板が焦げることがあります。
炭火は灰に穴を掘って埋めたり、触っていると自然に深く潜ることも多く、少ないと危険なことがあります。
銅板は熱伝導率が極めて高いので、断熱効果はありません。
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囲炉裏や火鉢の炉が浅く、灰を適量入れることができない場合、
炭火の潜り込みを止めるため、珪藻土の板などを入れます。
※断熱性の高い素材を使用してください。
 レンガや石材などは炭火の熱を吸収し、木炭の燃焼を妨げてしまいます。
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3) 輻射熱 の対策 

炭火の輻射熱(遠・近赤外線)は、炭火の周囲、あらゆる方向に飛び、炭火の下でも魚が焼けるのです。
この写真のように炭火の横で魚肉が焼けるのも、この輻射熱があってこそ。
炭火から1m以上離れても、顏が熱くて座っていられないほどです。

断熱を考える時、多くの方が底面の加熱を心配されますが、意外に側面の加熱が危ないのです!
側面に金属板を用いるなら、その裏側に耐火ボードなどを使用し十分な断熱を行ってください。
特に小さな囲炉裏や火鉢は、炭火との距離が近くなりがちで、注意が必要です。

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断熱材の加熱 --------------------------------------------------------------------

備長炭(白炭)、ナラ・クヌギ・カシの黒炭、オガ炭など、木炭の種類により温度変化があることは確かですが、
大差はないので配慮する必要はありません。



1) 炭火の温度 

まず炭火そのものの温度ですが、700〜1200度ほどと条件によりかなり差があります。
一般的な使用においては700〜900度ほど、送風などの条件により最高で1200度ほどに達します。
ただ、問題は伝える熱量ですので温度は参考まで。

左)送風せず880度。  右)送風時1158度。

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耐火断熱レンガ(JIS規格:B2レンガ)の上で、備長炭を燃焼











2) 断熱材の温度 (耐火断熱レンガ下の温度)

(炭火の下のレンガ)
断熱性の高い耐火断熱レンガ(JIS規格:B2レンガ)の上で、備長炭を燃焼させています。
レンガの厚みは65mm。耐火レンガと異なり、熱伝導率のとても低いレンガです。

(温度計の下のボード)
温度計(棒)を仕込んだ白いボードは35mm厚のヒシタイカ(繊維混入けい酸カルシウム板)で、極めて断熱性が高く熱を閉じ込めます。

このように熱を閉じ込めた状態では、時間と共にどんどん温度が上昇します。
放熱できない断熱材は時間かせぎに過ぎない! ということをお忘れなく!
どんな優秀な断熱材でも、加熱を続けて放熱できなければ、いくらでも高温になります。

3〜4時間も燃焼させると65mm厚のレンガ下で342度。
レンガをよけると炭火直下のコピー用紙が燃焼しています。
5時間で450度。加熱を続けるとまだまだ高温になります。
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   多量の炭火を長時間燃焼させる場合、
   断熱材に木板などの可燃物を接触させてはダメ!ということです。


断熱材と木板の間に空気層を設け、空気の流れで断熱材を放熱させなければなりません。




側面のレンガ表面は、100度ほど。
炭火から20僂曚瀕イ譴討い泙垢、輻射熱(赤外線)しかあたらず、空気中に放熱されるため長時間でも大した高温になりません。
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耐火断熱材 と 耐火材 の違い --------------------------------------------------------


耐火断熱レンガ/ B2 と 耐火レンガ/SK-32 の上で、備長炭3kgほどを燃焼させた実験です。
左側:耐火断熱レンガ/ B2  右側:耐火レンガ/SK-32  レンガの下に温度計(棒)を差し込めるようにセットしています。

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炭火を置いて30分後。 
右側:耐火レンガ/SK-32の上の火力が衰えています。耐火レンガには断熱性がないので、炭火の熱を奪い取るのです。

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耐火レンガを暖めているような状態になってしまいます。










1時間後。レンガ下の温度。
左側:耐火断熱レンガ/ B2 → 87度
右側:耐火レンガ/SK-32 → 202度
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時間がたつと火力が復活しますが
耐火レンガはどんどん熱を吸収してしまいます。









6時間後。レンガ下の温度。
左側:耐火断熱レンガ/ B2 → 450度
右側:耐火レンガ/SK-32 → 590度  常時、150度ほどの差があります。
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炭火を取り去り、2.5時間後。レンガ表面の温度。
左側:耐火断熱レンガ/ B2 → 94度
右側:耐火レンガ/SK-32 → 266度
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耐火レンガは蓄熱量が多く、温度が下がりません。










この現象は、断熱性のない材料(耐火レンガや一般的なレンガ、砂利、石材、コンクリート、など)で同様に起こります。
これらの材料と炭火を接触させると、火力が衰えるばかりでなく、周囲の材料を加熱させてしまいます。

今どきの囲炉裏や火鉢では、ピザ窯や溶鉱炉のような蓄熱は不要ですから、
炭火の近くではこれらの材料はなるべく使わない方がよいのです。






耐火・断熱材料についてはこちらを!


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2016年11月01日

雑木の紀州備長炭

 
珍しい雑木の紀州備長炭です

紀州備長炭の原木というとウバメガシ! と思っておられる方が多いのですが、正式には原木の規定はなく、ウバメガシやカシでなくても、れっきとした紀州備長炭なのです。
そもそも「ウバメガシ」もカシではなくナラ科の植物で、見た目もナラやクヌギによく似ています。
「備長炭=カシ類」という定義もあるようですが、「ウバメガシ=カシ類」という勘違いを含んでいるのです。

ちなみに現在製炭されている紀州備長炭の95%以上がウバメガシ、残り5%以下のほとんどがアラカシですが、まれに「雑木」や「楢:なら」の紀州備長炭が存在します。
アラカシでさえほとんど流通しませんので、産地でも滅多にお目にかかれません。
昭和初期までは燃料不足から、多く製炭されていたのですが、出荷価格も低くほとんど製炭されなくなりました。
雑木には、ソバ、アカメ、ネジキ、ヤブツバキ、トネリコ、カマツカ、サカキ、トベラ、ヤマモモ、クロガネモチ、ネズミモチ・・・などなど。
昭和初期は多くの雑木が製炭されていました。

雑木といえどもしっかり比重のある高火力な広葉樹ですから、ウバメガシの窯の焚き付けとして使うことがよくあり、
ほとんどが燃えてしまいますが、たまによい備長炭となり、その少量を集めて出荷されることがあります。

15kgが入った箱は滅多にお目にかかることのない品です。

また、コナラ、ミズナラ、を原木とすると雑木ではなく「楢:なら」という規格に分類されます。




雑木の紀州備長炭   ▼クリック拡大
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これはソバ、アカメ、ヤブツバキ、を原木としたものです。









  ▼クリック拡大
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ウバメガシと同様に紀州備長炭の箱で出荷されます。
比重が小さく同じ15kgでも体積が大きいため、大きな3号箱に入れて出荷されます。
表示名は「雑」と書かれますが、備長炭ではない各地の白炭と比べて、見た目も美しく燃焼性能も高いです。
原木により異なりますが、一般的な白炭より炭素密度が高く、持った感じもずっしりしています。
着火すると備長炭特有の全体が光る現象が見られ、明らかに黒炭の燃焼と異なります。
これは紀州特有の丁寧な製炭により、原木が強く引き締められるためだと思います。
同じ、ナラを原木としても一般的な白炭の製炭ではこのようなしまった炭にはならず、黒炭に近い燃焼になります。




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←ソバの木の紀州備長炭です。
ソバはとてもよい原木で、ウバメガシに混入すると区別がつかないほどです。
ずっしり重くしまり、火力も申し分ないです。










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2016年10月31日

楢:ナラ 白炭の燃焼

 
楢:ナラ 白炭の燃焼

白炭ですが、いわゆる備長炭(カシ類、ウバメガシ)ではないナラの白炭です。
主にカシ類の少ない、東北や山陰地方など様々な地方で製炭されますが、生産量が少なくあまり流通していません。
白炭のため備長炭同様にほとんど臭気がなく、昔から囲炉裏や火鉢、掘りごたつに使われた良質な木炭です。
生産者は戦後徐々に少なくなり、近年、海外からの安価な備長炭の輸入が増え、ますます減少したそうです。
里山やそこで暮らす人たちの生活を守り、二酸化炭素を増やさないためにも、こういった良質な木炭の生産が増えればよいと思います。
価格は一般的な国産黒炭より高価です。


※白炭(備長炭を含む)は一度燃焼させた炭に灰をかけて消火したものです。燃焼時に樹脂成分がなくなるため、ほぼ臭気がありません。


楢(ナラ)白炭
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燃焼具合ですが、備長炭のように着火直後から全体が強く光るということはなく、比較的黒炭に近い燃焼のが多く、
着火部分より黒い部分を残しながら、徐々に広がっていきます。
その速度は黒炭よりやや早いかもしれません。また、燃焼時間もやや黒炭より長いと思います。
黒炭同様に全体が光るには少々時間がかかりますが、黒い部分がなくなるまで着火してしまうと、
炎も少なく強い赤外線を放ちとてもよい火力があります。
また、炭質は産地や生産者、形状により様々で、黒炭に近いもの、備長炭のようによくしまったものと様々です。

湿気を含むと備長炭と同様に爆跳することが多いです。
※爆跳:ばくちょう 着火時にパンパンと勢いよくはぜる現象。


部分着火して徐々に火が回っています。
▼クリック拡大でご覧ください

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よくしまった炭は、燃え方も備長炭に近いものがあります。
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素晴らしい日本の木炭です!












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