2017年06月13日

鉄板グリルとステンレスグリル−1(食材の焼け具合など)

  
  
鉄板 と ステンレス その違いは?

鉄板グリルとステンレスグリル、その違いを検証してみました。
どちらも長所短所があり、どちらがよいかはご使用者による!としか言えませんので、
その判断材料になればと思います。
鉄板:SPH  ステンレス:SUS304(18-8)  を使用しています。




◆ 変 形

高温による変形には、ステンレスの方が強いですが、それなりに厚みのある鉄板で
通常使用において気になるほどの変形はありません。
当然ですが薄くて大きな鉄板は変形しやすいです。
真っ赤になるほどの高温にさらすと鉄はすぐに変形(炭火側に垂れ下がります)しますが、
ステンレスはかなり強く変形しにくいです。




◆ 変 色

鉄板は通常の使用においても炭火の加熱で茶色く変色します。
未使用のグリルを同時加熱すると鉄板は変色しています。
表面の酸素に触れる部分のみ変色しますので、研磨すると元通り光ります。

真っ赤になるほどの高温にさらすとステンレスも同様に変色します。
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◆ サ ビ

洗剤洗浄後の鉄板は10分もしないうちにサビがでます。ステンレスはサビがでません。
ステンレスも真っ赤になるほどの高温に度々さらすと変質やもらいサビによるサビがでます。

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◆ 価 格

ステンレスは鉄板グリルの30〜50%くらい高価です。
ステンレスはクロムやニッケルといった高価な素材を用いるため、
素材価格のみですと鉄板の×3倍もの価格になります。





◆油なじみ

使い込んだ鉄板は油が馴染んで、食材がくっつきにくくなります。
鉄板の表面は肉眼でもわかるほど凹凸があり、油が付着しやすく、焦げた油が取れなくなるためです。
お好み焼き屋さんの鉄板やダッジオーヴンのように真っ黒な状態となります。
しかし、高級店の鉄板は絶えず磨かれていて銀色のまま。油馴染みが必要かは微妙?です。
肉や野菜を焼くにはあまり必要なさそうに思います。
油の馴染んだ鉄板は、磨く労力が不要でお店にとっては都合がよいともいえるのです。
真っ黒な状態でよいなら鉄板。銀色のままにしたければステンレス。という判断もありかと思います。

←ステンレス 鉄板→ 鉄板の表面には凹凸があります。
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◆熱伝導率

鉄板の方が熱伝導率が高く、すぐに熱くなり、冷たい食材に触れると熱を移してしまうのですぐに冷めやすいです。
逆にステンレスは熱くなりにくく、冷めにくいという特徴があります。
ただ、グリルの場合は隙間があり、炭火の赤外線や対流熱が食材に直接あたるため、その影響は小さくなります。

実際のところどの程度の差があるのか? 実験です

←ステンレス  鉄板→
完全な同形状、6mm厚、鉄板:SPH、ステンレス:SUS304(18-8)
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なるべく左右均等の火力になるよう炭火を並べています。(オガ炭使用)
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グリルを置いて3分後
ステンレス63度、鉄板92度、やはり鉄板の加熱は早いです。
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グリルを置いて5分後
ステンレス114度、鉄板88度。
何度測っても何故か逆転しているのです。炭火のムラかもしれません。
何れにしましても5分もたてば大差なさそうです。
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◆食材の焼け具合
実際に焼いてみます。
焼き時間(裏返すタイミング)、火力、グリルまでの距離、などなど微妙な条件で状態が変わります。
おおよその目安、参考としてください。


まずは、牛ヒレから。
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←ステンレス
同時に裏返して、鉄板よりややソフトな感じです。
(コゲ目のない部分は肉が浮いていたためです)
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鉄板→
やはり一瞬で焼く力は鉄板が強いと思います。
中への火の通り具合もこの程度の厚みなら早いように思います。
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いわゆる薄切りの焼肉です。
瞬間的には鉄板が強いはずですが、普通に焼いてしまうとご覧の通り、ほぼ同じです。
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牛ランプ
直径32僂離哀螢襦 ̄が↑鉄板、↓手前がステンレス。
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←ステンレス
やはりソフトな焼き上がり。
→鉄板
瞬時に表面を焼き上げる力が強いです。鉄板に接触した部分としない部分の差が明確です。

しばらく焼き続けると鉄は冷たい肉に熱を奪われ、逆にステンレスは蓄熱していた分を伝えるため、
表面は同じような焼き上がりになります。
強いて言うなら、表面をいち早く焼き上げるなら鉄板、中まで火を通したいならステンレス、かと思います。
ただ、炭火の強さやグリルまでの距離が変わるとそちらの影響の方が大きくて、実際のところどうなのか???なかなか難しいです。
ちなみに、この肉はグリルで焼き〜バットにおろして保温、を4回も繰り返して火を通しました。
食べた時の差はまったく不明。 どちらも美味しいです(笑)
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豚ロース
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同時に裏返し。まったく同じ感じです。この厚みでは中の火の通り具合も同じに見えて不明です。
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鶏ササミ
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表面はまったく同じ感じ。
←ステンレスの方が火の通りがよいです。
ステンレスは蓄熱した分をゆっくり出すので、時間によってはこういう結果かと思います。
→鉄板は早く表面に熱を伝えて冷えてしまうようです。
これも少し時間がたてばおなじようになるかと???
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◆結果◆
ステンレスも鉄板もそれほどの差はないようです。
少なくともステンレスは熱伝導率が低いのでダメ!ということはないようです。
微妙な差しかありません。
火力(炭火のコントロール)、焼き時間など調理技術の方が大きく結果を変化させると思います。

ステンレスは持ち手が熱くなりにくいので運搬時は扱いやすく、特にお店で使われる場合は、
高価でも洗浄の楽なステンレスも比較すべきかと思います。


グリルの洗浄、光らせるならステンレスの方が楽です。
詳細はこちら




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Posted by field5392 at 16:27TrackBack(0)

2017年02月13日

空冷式の囲炉裏・火鉢

  
最高の断熱材は空気です!
物質の加熱は分子の振動により起こります。電子レンジはその応用です。
そのため、分子ができるだけ少ないものが過熱しにくく、つまり「空気」が最高の素材となるのです。
現存するもっとも優れた断熱材は魔法瓶や冷蔵庫に使われる真空断熱(空気が薄く分子が極めて少ない状態)ですが、
今のところ囲炉裏や火鉢での使用は現実的ではありません。


そのため耐火性があり、多くの空気を含む軽いものが優れた断熱材ということになりますが、
材料の形状や強度、加工性、コストを考えるとそれほど多くありません。
特にボード状の断熱材はケイカル板くらいしかないのが現状です。


断熱材は時間稼ぎに過ぎない!

しかし、この空気も曲者で、断熱性は高いといっても、閉じ込めた状態で加熱するといくらでも高温になります。
炭火による加熱が長時間続く場合、空気を閉じ込めた断熱材は時間稼ぎに過ぎないのです。
「加熱 > 放熱」であればどんどん高温になり、可燃物を燃焼させてしまいます。

そこで有効なのが空冷式です。
バイクのエンジンやパソコンなどと同様に、冷たい空気を常時流入させる方法です。
冷たい空気は無制限にありますので、時間に関係なく一定の断熱効果があります。



◆空冷式

鉄炉の四方上部に空気孔を作ります。

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穴を開けた床に鉄炉を置き、その上に囲炉裏框(かまち)を置きます。
鉄炉の底や側面が加熱すると、熱い空気は上昇するため空気口から排出され、
常に床下の冷たい空気が流入します。


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このような囲炉裏コーナーで床下が閉鎖されていたり、空気の流れない囲炉裏テーブルで有効です。
一階の解放された床下ではもともと空気の流れがあり、空気孔があると冷たい空気が室内に入りすぎたり、
虫が侵入することもあるため、空気孔は設けない方がよいと思います。

ほたる囲炉裏01












囲炉裏木部と鉄炉側板の距離は1〜2僂曚鼻
炭火の赤外線で鉄炉の側板が加熱、それに伴い木部も加熱してしまうため空気孔を設けています。
下部に空気の入る隙間があります。


001DSC_0164








こちらの火鉢も側板の加熱を防ぐため、空冷方式にしています。
鉄炉の底には灰があり断熱されますが、側板は炭火の赤外線をさえぎるものがなく、かなり高温になるのです。
このような形状の囲炉裏や火鉢は、底よりも側板が熱くなるのです。
※下に同タイプ火鉢の加熱実験があります。

DSC_0386DSC_0086












これは鉄炉の四方上部の隙間から空気を抜くタイプです。
下側の隙間は空気の取り入れ口です。

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空冷式の火鉢 加熱状態の一例です


鉄炉の左右35僂硫佝で、通常より多い炭火を使用しています。
側板と炭火の距離は10僂曚鼻


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(炭火を入れる前)
側板表面温度は7.8度 赤いポインター2点の部分で温度を測っています。

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炭火の温度は761度

DSC_0333












鉄炉裏側、鉄炉から1僂曚瀕イ譴唇銘屬鵬硬抃廚鮴瀉
鉄炉側板と木板の間に2僂龍間があり、この空間を空気が流れます。

DSC_0303












(炭火を入れて2時間後。ピーク時。)
鉄炉表面は175度、空冷されている鉄炉裏側は61度
当然、木板内側表面の温度は61度以下となり安全です。
この条件ではこの時が最高温度で、以後は炭火の火力低下と共に下がります。
断熱材と異なり、空冷は常に空気が入れ替わり、一定の効果が続きます。

DSC_0381

炭火の量や側板までの距離などで温度が大きく変わります。
一つの事例としてご覧ください。













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Posted by field5392 at 11:51TrackBack(0)

2017年02月06日

特殊な紀州備長炭

朴の木(ホオノキ)の紀州備長炭

かなり珍しい、特殊需要の紀州備長炭です。
朴の木の葉は、朴葉寿司や朴葉味噌に使われるのでご存じの方も多いと思います。
とても比重が小さく、ウバメガシの半分ほどの重量しかなく、柔らかい炭質です。
この柔らかい炭質を活かして工場でアルミの研磨に使うのだそうです。
火力はなく燃料にはならないようで、もちろん一般流通はしていません。
特別オーダーがあるとホウノキだけを窯につめて製炭されますが、製炭方法の基本は同じだそうです。

灰着きがよく、いかにも白炭という感じです。
IMG_7100IMG_7104IMG_7107













これも定義上は紀州備長炭ですが、語弊があるかもしれませんね。
※紀州備長炭に原木の定義はありません。詳細はこちら





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